キラキラなんてしなくていい。泥臭く笑い飛ばした、僕だけのグラスゴー留学記
安藤 悠さん
教育学部 学校教育教員養成課程
留学期間:2026年2月13日 ~ 3月13日
留学先:グラスゴー大学
参加プログラム:English for Academic Study:PRE‐SESSIONAL ENGLISH - FEBRUARY 2026
2月13日から3月13日までの4週間、イギリス・グラスゴー大学で行われた「Pre-sessional English course」に参加しました。2026年後半からのオランダ長期留学を見据えたウォーミングアップとして、そして将来英語教員を志す私にとって、この短期留学はかけがえのない経験となりました。この一ヶ月の軌跡を、ありのままに綴ろうと思います。
<プログラムでの活動内容>
私が参加した「Pre-sessional English course」は、基本的には学部や修士課程を目指すNon-native学習者が、アカデミックな英語力を向上させ、入学までに要件を満たすIELTSスコアの取得を目指すものです。私は信州大学向けの特別プログラムにより、2月始まりのクラスに4週間参加させていただきました。
月曜から金曜の9時~13時が授業で、月・水がReading & Writing、火・木がSpeaking & Listening、金曜が一週間の総括と担任面談という時間割でした。毎月テーマが変わるそうで、私の滞在中のテーマは「Transition(遷移・変遷)」でした。「高校から大学」「母国から外国」「過去から未来」など、様々なTransitionを軸にした教材が用意されており、テーマが絞られている分、関連する英単語やイディオムを紐づけて覚え、即座に実践することができました。特に「自国から外国へ留学」という内容は、まさに今の自分たちを客観視し、分析できるものでした。単なる語学学習の枠を超え、留学生としての自分自身をカバーしてくれるような、本当に楽しく有用な授業でした。
<クラスの雰囲気>
2月始まりのクラスは規模が小さく、クラスメイトは私以外に7人でした。そのため非常にアットホームな、密度の高い雰囲気で毎日が本当に楽しかったです。 日本の授業との最大の違いは、「みんなが好きなタイミングでお構いなしに発言し出す」点です。疑問に思った瞬間に先生へ質問を投げ、そこから全員で議論が始まります。日本の講義では、学生が勝手に進行を止めることは稀ですが、誰かの疑問を共有することで教え合い、学びを深めるという別の良さがあることに気づきました。
クラスに日本人が私一人だったのも最高の環境でした。英語しかコミュニケーションのツールがない状況は、私の英語運用能力を無理やり引き出し、伸ばしてくれました。クラスメイトは大学院を目指す20代半ばから、すでに結婚して働きながら通う人まで多様で、最年少の私を「1か月しかいられないんだったら思い出をたくさん作らなきゃね」とご飯に連れて行ってくれたり、地元の料理を振る舞ってくれたりと、本当に可愛がってくれました。休み時間に自分の趣味のマジックを披露したり、日本語を教える代わりにアラビア文字や中国のゲームを教えてもらったりと、濃密な異文化交流ができました。
<宿泊施設での生活>
宿泊施設は3人共同のフラットでした。約7.5畳の自室以外、キッチン、トイレ、シャワーは共用です。ルームメイトはタンザニア出身の50代の陽気な女性と、ポーランド出身の2歳下の女性でした。タンザニア出身の彼女は、早朝から大声で電話をしたり、深夜に掃除機をかけたりと当初は散々でしたが、お互いの料理を振る舞い合ううちに打ち解け、最終的には「第二の母親」のような信頼できる存在になりました。ポーランド出身の彼女は、私の調理器具や調味料を無断で使ったり、「夜にシャワーは控えて」と要求が多かったりしましたが、最終日には日本のイケメン俳優について語り合えるほど仲良くなれました。トイレにウォシュレットがない、シャワーがぬるくて水量がすずめの涙......など慣れないことだらけでしたが、それすらすぐに愛着に変わり、帰国した今でも夢に見るほど安心できる場所になりました。
<週に一度のJapan Society>
クラス以外のコミュニティを求め、「Japan Society」というサークルが開催する、週に1回のイベントに参加しました。 1週目の映画鑑賞会(『君の膵臓をたべたい』)では、数人に話しかけたものの深い交流には至らず、なかなかに凹みました。しかし諦めずに2週目の「恵方巻体験」に参加したのが大きな転機でした。一緒に寿司を巻くという共同作業のおかげで、一気に多くの友人ができました。3、4週目の「パブ・ナイト」も、ラフに話せる最高の場でした。グラスゴー大学は学生の約半分がイギリス国外出身ということもあり、多様なアクセントや価値観を持つ人々と出会えます。勇気を出して新しい環境に飛び込んだことは、この留学のハイライトです。そこで出会った友達と夜の大学を探検したり、TikTokを撮ったり、帰国後も連絡を取り合う素晴らしい関係を築くことができました。
<自由時間の過ごし方>
13時に授業が終わるため、放課後は友達とランチをしたり、図書館で勉強したり、街を散歩したりと充実していました。また、週末は旅行へ行きました。隣町のエディンバラやローモンド湖、さらにロンドンにも行き、すでにベルギーとスウェーデンに留学している研究室の同期と合流して観光を楽しみました。それでもイギリスは魅力に溢れ、全く行ききれませんでした。
<プログラム参加を通して学んだこと、気づいたこと、参加して得たことなど>
留学で最も大切だと感じたのは、「自分から動く勇気」です。 グラスゴーに行く前は、どこかで「日本からの留学生だ!ようこそ!」とチヤホヤされると思い込んでいました。というのも、信大教育学部に留学生が来た際、私たち現地の学生(英語教育コース)が総出でもてなしていたからです。しかし現実は違いました。多様性の塊であるグラスゴー大学では、日本人である私一人がポッと増えた程度では何も変わりません。待っていても誰も友達になってくれず、助けてもくれません。いつのまにか透明人間になってしまうのです。「自分の居場所は、自力で作らなければならない。」留学開始から数日後、それに気づいてから、自ら外国人の輪に飛び込むようになり、ようやく本当の居場所を感じられるようになりました。
<参加を迷っている信大生へのアドバイス>
留学は決して、それ単体でキラキラした日々が約束されたものではありません。私より長くグラスゴーに留学していた日本人の友人曰く、誰しも病んでしまう時期があるそうです。日本人だけでずっと固まって話したり、寮の自室に籠ってNetflixばかり観てしまったりすることもあるようです。もしあなたが「外国人の友達を作りたい」「異文化交流をしたい」と願うなら、アウェイに飛び込む勇気が必須です。でも、安心してください。その勇気が必要なのは、ほんの一瞬です。一度飛び込めば、あとは周りの優しさが味方してくれます。かつて1月下旬まで参加を迷っていた私が、今では100%の自信を持って「行って良かった」と言えます。現地に着いてさえしまえば、すべてがトントン拍子に進み、ハプニングのすべてがあとで愛おしい笑い話になります。この留学は、きっとあなたの人生を支える貴重な経験になるはずです。

